私の表現は、サックス奏者としての活動から始まりました。
そこから映像、配信、Web、SNS、AIへと領域は広がってきましたが、根底にあるのはいつも同じです。
このページでは、その歩みを紹介します。
サックスとの出会いは、中学校の吹奏楽部の楽器体験でした。はじめて吹いたとき、体と一体になって音が出てくる衝撃は、今でも忘れません。それからは、サックスに夢中になって取り組むようになりました。
ジャズと出会ったのは、楽器を買ってもらったときに付いてきた雑誌に、ジャズの特集があったことがきっかけです。紹介されていたアルバムを聴いてみると、自分や周りの音とはまったく違う、個性的な響きに驚かされました。
そこからはジャズに夢中になっていきました。とはいえ、最初から良さが分かっていたわけではありません。分からないのに、なぜか強く惹かれました。何を聴けばいいのか、何が良い演奏なのか——分からないなりに、聴いて、真似して、考えながら、少しずつ「自分は何に面白さを感じるのか」を確かめていきました。
中学生の頃に聴いていたのは、ジョン・コルトレーンの『ブルー・トレイン』や『ジャイアント・ステップス』、ソニー・ロリンズの『サキソフォン・コロッサス』などです。高校生になるとジャズに本格的に取り組むようになり、大学は洗足学園音楽大学のジャズコースに進みました。
大学では、師匠である川嶋哲郎さんに出会い、表現者としての生き方と、その哲学を学びました。在学中には、アメリカ・マイアミ大学フロスト・スクール・オブ・ミュージックのジャズ学部での研修にも参加し、ジャズの本場でその音楽性に触れる機会を得ました。
選抜ビッグバンド「Get Jazz Orchestra」にも所属し、アメリカの DownBeat 誌が主催する学生コンテスト Student Music Awards では、同バンドが大編成アンサンブル(学部部門)で Outstanding Performance を受賞しました(単独2位)。札幌をはじめ各地のジャズフェスティバルや、Motion Blue Yokohama などのジャズクラブへの出演、国内ツアーなども行いました。
また、特別選抜演奏者として認定され、同コースを首席で卒業しました。
卒業後は東京で活動しました。TOKYO TUC での『川嶋哲郎&ヤングライオンズ』『大坂昌彦 JAZZ BATTLE ROYAL "40s vs 20s"』などのイベントで、日本を代表する演奏家と共演。川嶋哲郎(ts)さんとの東北ツアーや、菅原高志(ds)さんの九州ツアーなど、日本各地で演奏を重ねました。2019年には、川嶋哲郎さんのアルバム『WATER SONG』にフルートで参加しました。
こうした東京での日々から、多くの刺激を受けました。一方で、演奏を続ける中で、良い演奏や企画があっても、目的や伝え方が噛み合っていなければ、その価値が十分に届かないことも感じるようになりました。
公演を開くこと自体が目的になってしまったり、なぜその場所で、その形で行うのかが見えにくかったりする。演奏の内容は良いのに、伝え方や見せ方によって届き方が変わってしまう。そうした場面に触れるうちに、演奏家としてステージに立つだけでなく、公演がどのように企画され、どう人に届き、どう次につながっていくのかまで、自分でも関わってみたいと思うようになりました。
その後、拠点を仙台に移し、演奏を続けながら、企画や運営にも少しずつ関わるようになりました。2020年には、仙台で活躍する演奏家が出演し、国分町の複数のライブハウスをめぐる回遊型イベント「SENDAI LIVE WALK」を立ち上げ、運営しました。
この経験は、演奏の場をつくるだけでなく、その魅力をどう伝え、どう残していくかを考えるきっかけにもなりました。のちに映像、配信、Web、SNSへと活動が広がっていった背景にも、このときの経験があります。
映像と配信を始めたのは、コロナ禍で演奏の機会が失われた時期でした。予定はすべてキャンセルとなり、この状況が長く続くことを見越して、新たな一手を打たなければなりませんでした。
転機になったのは、以前から一緒に演奏してきた先輩の存在です。映像制作と配信を生業にしている方で、その先輩に教わりながら、さまざまな撮影現場にアシスタントとして同行し、数年かけて経験を積んでいきました。
教わる一方で、自分でも場数を踏みました。音楽仲間のライブやコンサートがあるたびに、練習として撮影に通わせてもらい、打ち合わせから撮影、編集、納品までの一連の流れを身につけていきました。やがて映像と配信は、プロとして通用する品質で届けられるようになり、仕事の柱のひとつになりました。
映像制作のキャリアがスタート
映像の仕事は、最初はコンサートやライブの収録が中心でした。活動に制限があるなか、音楽を届ける手段として、映像で発信する取り組みが各地で広がっていた時期です。
配信事業への挑戦
配信も、同じ時期に始めました。会場にお客さまを入れられなくなったコンサートを、オンラインで届ける——そんな無観客配信が、最初の現場でした。
配信は、映像とはまた違う技術です。あとから直すことができないので、その場での判断がすべてになります。なかでも音は、音楽家としてどうしても気になってしまうところで、演奏で培ってきた耳が、ここでも役に立っていると感じます。
当時、小規模な配信はまだ新しく、やり方も定まっていませんでした。手探りを続けながら、少しずつ確立していきました。
音楽以外の領域へ
音楽の現場を撮り続けるうちに、それ以外の制作も少しずつ増えていきました。記念の催しや式典、企業や団体、園の活動など、さまざまな現場から声をかけていただくようになりました。
SNSでの発信へ
SNSの広がりとともに、リール動画のような短い映像も手がけるようになりました。商品やサービス、活動の魅力を、短い時間で手早く伝えたいという相談が増えています。
会場と世界をつなぐ、新しいフェーズへ
コロナ禍が明け、無観客のイベントはだいぶ少なくなりました。いま配信は、会場とオンラインをつなぐことから、その場と世界をつなぐことへ。新しいフェーズに入りつつあると感じています。
毎年10月10日には広島へ行き、ピースウィング広島での配信に携わっています。会場でのリアルなイベントと、世界中の参加者をつなぐ取り組みです。
打ち合わせを重ねるうちに、気づいたことがあります。映像をつくること自体が目的ではなく、その先にはいつも、達成したい目的があるということです。話し合うほどに、映像をつくるだけでは足りないとわかってきました。商品やサービスの動線——どう知ってもらい、どう動いてもらうか——まで同時に設計しなければ、目的にはたどり着けないのです。
Web制作の道へ
そこでWebを学び始め、映像と組み合わせることで、目的の達成までを支えられるようにしてきました。
たとえば、2024年にオープンしたリライブハウスのホームページは、制作から運用まで手がけています。
SNSの活用へ
届けたい相手や目的によって、ふさわしい手段は変わります。ホームページは信頼してもらうための土台、SNSはサービスや商品を知ってもらう窓口、公式LINEはリピーターへ届ける場——それぞれに役割があります。
そこで、インスタグラムや公式LINEの運用も一緒に担いながら、制作物をそれぞれ最適な形に整えていくようになりました。
AIを仕事に活用へ
活動の幅が広がるほど、演奏や制作そのもの以外の、こまごまとした作業に追われる時間が増えていきました。
私が本当に時間を使いたいのは、楽器に向き合うことや、人と一緒に何かをつくることです。その時間を取り戻したい——そう考えたことが、本格的にAIに取り組みはじめたきっかけでした。
今ではClaude Code、Codex、ローカルLLMを活用し、制作以外の大部分を自動で処理できるようになりました。新しい技術だからこそ、情報を守り、安全に使うことを何より大切にしています。
そうして培った実用的な使い方は、同じように悩むクライアントにも、知見として提供するようになりました。
演奏や制作の活動を続けるなかで、地域の2つの一般社団法人で理事を務めるようになりました。
一般社団法人東北シティジャズヒストリーでは、2023年から理事を務めています。東北がもつジャズの歴史的遺産を活用し、交流の場を生み出していく団体です。音楽そのものの魅力に加え、それを取り巻くさまざまな文化も広く発信し、東北のジャズを歴史から現在、そして未来へと紡ぐ架け橋になることを目指しています。仙台ジャズヒストリーコンサートの開催や、ARを活用した冊子『仙台JAZZ MAP』の制作、学校でのジャズセミナーなどに取り組んでいます。
一般社団法人虹のさかなプロダクションでは、2025年から理事を務めています。ジャンルを越えた音楽家や芸術家のコラボレーションによる公演を企画し、地域の音楽文化を広げている団体です。あわせて、音楽やアートを入口に、訪れた人が福祉や就労支援の存在を自然に知れるような、インクルーシブな公演にも取り組んでいます。
企画や制作に関わる一方で、演奏家としての活動も続けています。なかでも力を入れているのが、仙台の若手ジャズミュージシャンで結成した伊達ジャズクインテットです。オリジナル曲の制作からレコーディング、プロモーションまで、すべて自分たちの手で行い、アルバム『It's a Date』を制作しました。
演奏して終わりではなく、曲をつくり、録音し、届けるところまでを自分たちで担う。その一連の流れを地域の中で完結させ、経験を一つずつ積み重ねていく——伊達ジャズクインテットは、そんな「制作まで含めて主体を持つ」音楽活動の、ひとつの実践だと考えています。
伊達ジャズクインテット『It's a Date』
これまで、音楽、映像、Web、SNS、配信、AIなど、さまざまな手段を扱ってきました。使う手段は、これからも変わっていくかもしれません。けれど、ものごとへの向き合い方そのものは、変わらないように思います。
さまざまな現場で手を動かすうちに、自分の表現のあり方も変わってきました。何かを作り出して主張するというより、自分自身がひとつの媒体になっていく——そんな感覚です。相手や対象がもともと持っている価値が、自分を通ることで、自然と形になっていく。その瞬間を、できるだけ誠実に受け取りたいと思っています。
心を動かされたものを、伝わる形にするために、日々学び、実践し続けていきたいと思います。
演奏のご依頼、映像・配信・Web制作のご相談、AI活用のご相談など、内容がまだ固まっていない段階でもお気軽にお問い合わせください。目的・規模・ご予算に合わせて必要な内容を整理し、実現しやすい形をご提案します。